この夏、日本ではビールや夏物衣料が販売不振になるなど
天候不順や暑さ不足が産業界に影響を及ぼした
9月に入ると天候は持ち直し
例年9月中旬から現れる秋雨もほとんどなく、全国的に秋晴れが続いた
9月の月平均気温を見ると、沖縄は統計開始以来、最高を記録する残暑となったが
そのほかは晴天が続いたわりに気温はあまり上がらなかった
東北地方や東日本を中心に平年を下回り、全国平均でも平年を0.08℃下回った
日本で9月の平均気温が平年を下回るのは8年ぶりのことである
しかし、世界に目を向けると状況は一変する
気象庁によると、世界全体の9月の平均気温は平年より0.37℃高く
統計を開始した1891年以降、9月としては2005年に並んで最も高い気温
約120年間の観測で、1位タイとなる記録的な暑さ(暖かさ)だったのである
日本を含む北半球の中緯度や南米南部、豪州西部で平年を下回ったが
そのほかの地域では平年より高く
特に欧州北部からロシア西部、カナダから米国北部で顕著な高温となった
世界的な高温を記録した大きな要因は、エルニーニョ現象である
エルニーニョ現象とは
太平洋赤道域の日付変更線からペルー沖にかけての海面水温が平年より高くなる現象で
この結果、太平洋赤道域全体の海面水温が高くなる
また、エルニーニョ現象の発生に伴って
インド洋赤道域では西から吹いている風が弱い東風に変わる
このため、暖水域がインド洋西部へ広がり、インド洋赤道海域全体の海面水温が高くなる
太平洋やインド洋の赤道域全体の海の暖かさが、世界の気温を押し上げる結果となった
しかし、エルニーニョ現象は周期的な変動で数年おきに発生しているため
この影響だけで高温記録が出るというのは説明できない
エルニーニョ現象に加えて、二酸化炭素(CO2)など、温室効果ガスの大気中濃度が増加し
長期的に気温のベースが高くなっているためだと考えられる
つまり、エルニーニョ現象と地球温暖化の2つが重なった結果
記録的な暑さになったといえる
CO2濃度の変化を見ると、産業革命以降35%増加し、2006年に381ppmに達した
近年は毎年2ppmずつ増加し、現在も増加の一途にある
一方、CO2濃度のグラフを見ると、小さな山と谷が繰り返されていることがわかる
CO2濃度は、一年の中で小さく変化し続けているのだ
この理由は、季節によって植物の光合成によるCO2の吸収量が変わるからである
北半球は南半球より陸地の面積が広いため
北半球における春から夏にかけて、植物の光合成が盛んになり
地球全体のCO2濃度が低下する
一方、北半球の冬は光合成する植物が地球全体として減少するため
CO2濃度が上がる
このように季節変化を繰り返しながらも人為起源の排出量は増加し
大気中のCO2濃度も年々増加している
この夏、日本では厳しい暑さにならなかったため
地球温暖化の実感が薄れた方もいるかもしれない
あるいは地球温暖化に疑問を持った方もいるかもしれない
しかし、気温は世界で一様に上がるのではなく、地域による差があること
また、年ごとの変動も大きいことを忘れてはいけない
事実、世界的には過去最高と並んだ今年9月の平均気温も
欧州北部やカナダ、米国北部では高かった一方
日本など一部の地域では平年を下回り、地域による差が大きいことを示している
世界の平均気温も一直線に上昇していくわけではない
エルニーニョ現象が起これば世界的に気温が高くなる傾向があるし
大規模な火山噴火があれば
火山灰などで大気中のエアロゾル(微粒子)が増えて太陽の日射しを遮るため
数年にわたり気温が低下する
こうした要因による年々変動は、CO2濃度の増加による地球温暖化以上に
その年の気候に与える影響が大きい
地球温暖化によるゆっくりとした気温上昇と
年々変動による大きな気温変化は重なっている
たとえ一時的に気温が低い時期があったとしても
地球温暖化が止まったわけではない
一時的な気温に一喜一憂することなく
地球温暖化の緩和に向けた努力
地球温暖化に対する適応策をしっかりと取っていく必要がある
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